• 雑記

元カノを追いかけるだけのバンド「zerwee」は素直に聴けない

画像:zerwee

パワーポップの金字塔であり、weezerの傑作デビューアルバム(通称ブルーアルバム)がリリースされて25周年の日、weezerのバンド名をもじったバンド「zerwee」がyoutubeに4曲入りEPをアップロードして話題になった。

“I got tired of waiting for Weezer to release another good album so I made one myself.”
weezerがいいアルバムを出すのに待ちくたびれたので自分で作った

投稿文はなんとも挑戦的でギター・ヒーローを目指していた時代のリバース・クオモがやりそうなことだし(発表するかどうかは微妙だけど)、僕もこの姿勢は好きだ。

収録されている曲の印象はブルーアルバムとPinkertonの間に作られたような感じで、Pinkerton Deluxe Editionに入っている隠れた名曲「You Gave Your Love To Me Softly」と同時期、マット・シャープが在籍していたあたりを彷彿とさせる。

今ひとつ喜べない

このzerweeのEPは良い。とても良い。ジャケットも『如何にも』な感じだ。weezerオマージュでなくともパワーポップ・ファン、インディポップ・ファンが喜んで飛びつきそうなセンス。試聴コーナーにあれば迷いなしにヘッドフォンを手をのばすのは想像に難くない。

だが…素直に喜べない。なんというか、この投稿者はおそらくグリーンアルバム以降がピンときてないんじゃないだろうか。個人的にはRaditudeやあのEpitaph(ブレッド・ガーヴィッツのレーベル!)から出したHurleyも良かったし、高い完成度でグラミー・ノミニーツに入ったwhite albumも良かったんだけど、結局、投稿者も、僕も含めたこのEPに手を叩いて喜んでいる人も、求めていたのはブルーアルバムであって現在進行系のweezerじゃなかったんじゃないだろうか…と、なんだか暗雲立ち込める気持ちが片隅にある。もちろんこれは気にして良いのはアーティスト側であってオーディエンスには関係ないことだ。それでもデビューをリアタイで経験して輸入CD屋に走った身としては、その後に出続けるアルバムを持ち上げたり落としたりしていた1オーディエンスとしては、引っかかるところなのだ。

weezerにあるもの、zerweeにあるもの

前述の「white album」をBGMにこの記事を書いているが、やはり…というか、どうにも完成度の違いを感じざるを得ない。「white album」からはさんざん遠回りして掴んだ音やメロディ、チャレンジからバンドの新しい面を感じることが出来る。ここがまさに重要であって、オーディエンスやファンにとっては求めてたり求めてなかったり、後年になって再評価されたりと変わらないようでいて変わっていく変化はベテラン・バンドの面白い部分でもある。

その葛藤や苦痛でのたうち回って掴んだ何かがzerweeに足りないが、考えてみれば足る必要はない。このzerweeが再現したかったものは何かを得る前のweezerだからそれで良いのだ。その欠けた部分が、美化されてしまった昔の恋人の横顔を追いかけている情けない感じがして、そこがまさにweezerっぽくもあり、今のweezerが失ってしまった部分であり、デビュー当時のweezerを感じる『核』の部分でもあるのではないだろうか。感じる必要のないジレンマのおかげでこの妙なイミテーション・バンドに素直な評価が下せないが、不思議と不快ではない。

ともあれ、精神性も含めてzerweeのEPは蘇った94年のweezerであることは間違いないだろう。なんなら全員どうしょうもない風貌の架空のメンバーをでっち上げて、スパイク・ジョーンズの熱烈なファンの制作者(ここまでやるならスパイク・ジョーンズ本人ではダメだ)にハッピーデイズ部分は残してMVを撮ってほしいぐらいだ。Stay tuned, for more happy days!

とりあえずアルバムを出してほしいし、是非ともこのジレンマを加速させてくれるような10曲で浮かれているオーディエンスを殴ってほしいし、2019年製の90’s弱虫ロックをマイ・マスターピースに加えさせてほしい。そう願ってやまない。

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